氷上の軌跡 -#29 阿部翼-

総合政策学部四年阿部翼です。これが私にとって大学生活最後の文章となります。


私がアイスホッケーを始めたのは、小学校一年生の時です。弱小チームで、いつも大差で負けることが当たり前のようでした。

中学からは合同チームで現四年生斉藤と同じチームで戦い、彼には昔から助けてもらうことが多かったです。高校に入り、武修館高校へ入学することになりました。ここでは、監督、コーチ、チームメイトを含め、人間的に大きく成長させてもらいました。と、今までの経歴を簡単に説明させてもらいました。


さて、ここからは大学生活を書かせていただきます。私が入学する前に、中央大学が無敗で三冠するという偉業を果たし、その姿に憧れ入学しました。憧れていた先輩方の背中は大きく、多くのモノを学ばせてもらいました。それと同時に、厳しさも何倍と感じることになります。

一年生春、人生で初めてのベンチ外の悔しさを知り、高校の頃に言っていた事をよく思い出しました。それは、「ベンチに入れない人の気持ちを考えろ」です。あの頃はわかってあげられていたという気持ちでいましたが、いざ自分がその場に立った時、今まで思っていたよりも想像がつかないほどの気持ちになりました。悔しい気持ち、そして何より親への申し訳ない気持ちでいっぱいでした。自分が試合に出て活躍する、優勝することが全ての恩返しになると思っていた私は、自分を生まれて初めて嫌いになりました。

そんな時にいつも声を掛けてくれていたのが当時三年生の小泉智也さんでした。落ち込んでいる私を何も考えないようにと、練習、ウエイトなどと常に誘っていただき、落ち込んでいる暇なんて無いぞ。と言葉では言われませんでしたが、自分にはそう感じました。

そこからの自分は、人に笑われても下手で馬鹿にされても歯を食いしばり泣きながらでも我武者羅に一歩踏み出せる様になりました。その一歩があったからこそ、今の自分を強くさせてくれたと思います。 

二年生の秋、試合にも使ってもらえるようになり出場機会が増えてきていた私は、人生で一番の大きな怪我をしました。シュートで膝の皿が割れ全治半年と二年生の残りのシーズンを諦めなければいけなくなりました。せっかくの成長のチャンスをここで台無しにしてしまいました。ただ、何故かそこには悔しいという気持ちが全くなく、ホッとした自分がいました。それは、いつセットを落とされるかと毎日必死でビクビクしながら過ごしていた日々から何も考えなくても良い、解放にあったと思います。選手として悔しさがなくなるというのは、自分の成長を止めたことを意味すると私は思います。私は選手失格なのです。今でも私はこの事を後悔しています。


そして、四年目についてです。今年度、私は主将を務めさせてもらっています。中央大学は、今年だけ勝てればそれで良いチームではありません。これからもずっと優勝し続けるチームを作らなけばならないと自分なりに考え、各学年に代表者を作り何かあればその代表者を中心に話し合って考えさせ、次年度以降もスムーズに進行できるようにしてきました。寮の周りの方々にも応援されるようなチーム作りをしたいと清掃活動もしました。今年やってきたことに間違いはないと証明できるのは、優勝してからでないとわかりません。逆にいうと優勝して証明することもできます。ここ数年どんなに先輩方が頑張ってくれても優勝から遠退いています。それは、後輩である自分たちの頑張りが足りなかったのだと思います。先輩方の悔しい姿を何度も見てきました。今年は、その先輩方の悔しい姿を背負って立っています。四年になり、周りの方々からも声をかけてもらえることが多くなりました。日頃から支えてもらっていることに改めて実感させてもらっています。全ての方々、先輩のためにもインカレを必ず優勝して恩返しします。


 最後に、私はいつも味方の選手たちに恵まれていると思っています。他大学にも自慢できるほどの上手い選手がたくさんいます。後輩のみんなには四年生のためにもう少しだけ力を貸してもらいたいと思います。怒ったり、厳しい事をたくさん言ってきましたが本当に可愛い後輩たちです。同期の四年生にもたくさん助けられました。まだまだ、みんなと学生でバカをやっていたいけれど時間は待ってくれません。刻一刻とその日は、近づいています。


こんなに恵まれたチームメイトと四年間過ごせて私は幸せ者でした!!本当にありがとう!!この最高のチームメイトと最後の大会を楽しみます。ではなく、優勝して思いっきり喜び合いたいと思います!!中央大学スケート部を最後まで応援よろしくお願いします!


主将 #29 阿部翼

中央大学スケート部アイスホッケー部門

中央大学スケート部 アイスホッケー部門