氷上の軌跡 -#20小川翔太-

20番のユニフォームを新調したのにも関わらず、9回しか着ることができなかった小川翔太です。
毎年先輩方の氷上の軌跡を見て、もう引退してしまうのか、と寂しく感じていたのがつい昨日のようで、あっという間に自分も書く側に回ってしまいました。
自分の今までのホッケー人生のことや、同期のことなど書きたいことは多々ありますが、せっかくなので中央大学の一員として学んだこと、考えてきたことを書き記していきたいと思います。
後輩や読んでくださる方々に、少しでも気づきがあれば嬉しい限りです。
同時に、自分自身が将来挫折したときに、何か気づきを与えてくれるものになればいいなと思っています。

さて、前置きの長さからお察しの通り、かなりの長文です(笑)
これでも凝縮したつもりですので、最後までお付き合いいただければ幸いです。

それではここから、4年間で学び、考えていたことを3つに分けて語っていきたいと思います。

1つ目は「自分の長所を伸ばすこと」。
自分の短所を削ることばかりに注力するのではなく、自分の長所に磨きをかけて“誰にも負けない武器”を身につけることです。
これは1年生の時のキャプテンであり、当時部屋長の小泉智也さんからアドバイスいただいたことです。

当時の自分は試合に出られないという人生初めての経験をし、もがき苦しみ、ただただ目の前の練習に必死で取り組むことに精一杯になってしまっていました。
特にパスレシーブに関しては、チームメイトの当たり前が当たり前にこなせず、来る日も来る日もパスミスを恐れていたことは今でも鮮明に覚えています。

そんなとき、智也さんに言われたのが、「ミスばっかり気にしても並の選手になるだけで、評価されるようにはならないよ」というお言葉でした。
そのお言葉を聞いて以降、自分はセールスポイントである体の強さに磨きをかけることを意識し、練習ではそのフィジカルを生かした守備で、オフアイスではより強く動ける体を作るためのトレーニングや食事を心がけました。
結果、チームメイトからもスタッフからもその強みが評価され、試合に出られるようになりました。

と、綺麗事のように書いていますが、実際には長所を磨いているつもりでも評価されない日々が長く続きました。
そんなときにも長期的な目線を持ち、自分自身のことを信じ続けて努力をするということも大切だったと感じています。

これからも、仕事などでミスに目が行ってしまうことはあると思いますが、そんな時こそ自分の良さを見つめ直し、自分自身を信じて強みに磨きをかけていきたいと思います。

2つ目は「チーム内で自分の役割を全うすること」。
チーム内に無駄な選手など一人もいなく、全ての選手にできることや役割があるということです。
これは昨年のキャプテンで、またもや部屋の先輩、阿部翼さんから学んだことです。
翼さんは2年目でようやくレギュラーに定着したところで大怪我をし、そのシーズンの残りをブレザー姿で過ごすことになってしまいました。
私自身も1年目はほぼユニフォームを着ることができませんでしたので、共にドアマンを務めていました。そのときに出場できない悔しさがあるにも関わらず、チームの誰よりも声を出す翼さんの姿を見て、試合に出られなくてもやれることはあるということに気づかされました。
実際に、翼さんは怪我をしていようとベンチにいなくてはならない存在となっており、私にとっては鑑でした。
それからというもの、真似をするように声を出したり、試合の告知画像を作ったりするようになり、時には感謝の言葉もかけてもらうことができました。
「微力だけど無力ではない」。まさにこの言葉の通りだと痛感しました。

今年のリーグ戦では、同期の4年生が試合に出られないときにも、スティックを綺麗に並べてくれたり、気づいたことをアドバイスしてくれたり、ドアマンをやってくれたりと、チームのために行動している姿をよく目にしました。
そういった行動がチーム全員を同じ方向に向かせ、チームとして力を発揮することができたのだと思います。

これから先、自分が無力に感じることもあるかもしれません。そんなときにも自分にできることがあるということを忘れずに、その役割を探して貢献するように心がけたいと思っています。

3つ目は「誠実な取り組みを続けること」。
人として、チームの一員として、当たり前のこと・やるべきことをやり続けることです。
前回のブログでも書かせていただきましたが、「誠実」の大切さは、コロナ禍で、さらに寮長として今シーズンは特に強く感じました。
今年は、4年生が中心となって決めた感染対策のルールを尊重して全員で外出制限をしました。このルールは感染対策としてやらなくてはならない事として制定しましたが、正直なところ、大学生にとってはかなり厳しいものだったと思います。
それでも下級生が「チームのために」「4年生のために」と我慢して生活してくれたおかげで、体調不良者が出ないまま最終日を迎えることができました。
このような生活の部分は、一見競技には関係ないようにも見えますが、試合中の大事な局面で踏ん張れるかどうか、自分の感情に支配されることなくチームのために戦えるかどうか、という部分に繋がっていると思います。
今シーズン、優勝できた要因を聞かれれば、上記のような生活面での規律が守られたことを挙げると思います。

コロナが治ったとき、社会人になったときにはこのようなルールはないかもしれません。
それでも、ポイ捨てをしないなどの当たり前を大切にすることや、掃除や整理整頓といった“やるべきこと”を徹底することなどの「誠実」な行いを続け、ほんの少しの差をものにできる人に成長していきたいと思います。

最後に、夢であった中央大学の一員として生活し、アイスホッケーに打ち込めた日々は本当に幸せだったと感じています。
このように感じられるのはスタッフの皆さんやチームメイト、応援してくれる方々、中学・高校時代にお世話になった恩師、そして両親など、とても多くの方々のおかげだと思います。
本当にありがとうございました。

#20 小川翔太

(写真右から#20小川、OB(現:室蘭スティーラーズ) #10小泉智也、同:#29阿部翼)

中央大学スケート部アイスホッケー部門

中央大学スケート部 アイスホッケー部門